心が或る事柄を想起しようと欲した場合、(中略)、思い出そうとする対象が残した痕跡の存在する箇所に出会うまで、脳の各所に精気を押し流すのである。けだしこの痕跡とはかつて問題の対象が現れたために精気がそこから流れ出した脳気孔にほかならず、その結果、この痕跡は精気が到達した場合、ふたたび同様にして開くことが、他の気孔と比べてはるかにたやすくなっているのである。したがってこの気孔に出会った精気は、(中略)、この対象こそ心の思い出そうとしていた物であることを心に教えるのである。 |
ある事柄を思いだそうとしたとき、脳にたくえられた過去の記憶(痕跡)を探すために、脳の各所に活動電位を送りこむ。痕跡とは、過去に活動電位が通過したシナプスのことで、その結果として、次に活動電位が到達したとき、このシナプスが活動することが、はるかにたやすくなっている。したがって、このシナプスにたくわえられた記憶こそが、いままさに思いだそうとしていた物として想起されるのだ。 |